久乃が吉原の中梅楼に女郎として売られてきたのは十八歳の春の事であった。(春の章) 久乃は娼妓営業の鑑札が下り若汐という源氏名をもらったが、初見世の時、客のもとを飛び出してしまう。これに激怒したお職の九重は自らの身体で若汐に廓の女の作法を教えるのだった...。(夏の章) 一年後。中梅楼のお職の座には吉里がついていた。酒と情人に弱いこの花魁には危うい不安がつきまとう。ある夜、若汐の前に古島財閥の若き当主、信輔があらわれた。この日を境に彼は若汐のもとに通い詰める...。(秋の章) 再び一年後。小花に替わってお職の座についたのは、楼主と女将の薦めもあって花魁名跡“紫”を継ぐことになった若汐であった...。(冬の章) それからさらに一年後の冬のある日、紫は菊川と再会した。安女郎となった彼女との差は年月以上に大きなものがあった…。










